経済学研究科

税理士試験の科目免除

 「地域公共政策専攻」では、(1)地域ガバナンスプログラムと、(2)財政・税務プログラムを2つの柱としています。

 このうち財政・税務プログラムでは、地域における中小企業等に対して専門的知見を活用して貢献する専門家・高度職業人として、主に税理士の養成という明確な目標のもと、まず講義科目を通じて、租税法や関連領域(財政学、行政法等)に関する基礎的な知識、分析方法、資料収集方法の習得を図っています。さらに、一定の租税法等に対する学習が進んだ時点から、受講生の希望に応じて、修士論文テーマの選定、そして関連するテキスト・裁判例・論文等を用いた演習における討議を通じて租税法を中心とした租税・財政に関する理解を深めていきます。特に実際の租税に関する法的判断の集成である裁判例(国税不服審判所裁決も同様に)への習熟と当該論点に対する検討報告に重点をおき、租税法に関する法的な考え方の修得に努めることで修士論文の作成能力や分析能力を涵養し、もって税理士として、更には、幅広い知見をもとに地域に、特に地域の発展の礎となる中小企業へ貢献する高度専門職業人の養成を企図しています。

 近年では、租税に対する関心の上昇や経済活動の国際化によって、租税に関する紛争は複雑化しています。また、基本的な租税に関する情報はインターネットを通じ容易に検索入手が可能となり、さらには通信、ソフトウェアの発展により自動化等、従来の経理業務を取り巻く環境は変化しています。このような状況を前提とすると、高度職業専門人としては、従前のように単に租税の算定に習熟するのみでは充分ではなく、前提となる取引事実等を把握し、租税負担の根拠となる法的な判断を正確に考察し、納税者や課税当局に対して論理的に説明できる能力が必要とされ、社会的コストの低減と適切な租税環境の構築に資することが求められると思われます。このような認識の下、本プログラムでは、修士論文作成に至る段階的な知識の修得過程において裁判例の検討を重視することにより、租税法に関わる法的な判断や考え方を学び、実践的・汎用的な知識・考察力を身につけてもらうことを目標としています。

 なお、本プログラムでは租税法に関して、入学時より段階的に資料の収集方法や分析方法を学んでいく予定です。しかしながら大学院生として当然のことながら、基礎的な知識を前提に、主体的・意欲的に勉学に取り組む姿勢が求められることになります。特に近年はより専門家として高度な知見の習得が求められ、かかる習得に資するべく、多様な資料を分析・検討し、厳しくも充実した研究・論文作成が求められているものと理解されます。

 本プログラムへの入学を希望し、大学院における研究計画の立案や入学前における租税法の基礎的な知識の習得を図る際には、水野忠恒他『テキストブック租税法』【中央経済社、2018】、金子宏他『税法入門第7版』(有斐閣、2016年)、岡村忠生他『ベーシック税法第7版』 (有斐閣アルマ、2013年)、金子宏『租税法』(弘文堂、最新版を参照のこと)、水野忠恒『大系租税法(第2版)』(中央経済社、2018)、中里実他『租税法概説』(有斐閣、2015)、増井良啓『租税法入門』(有斐閣、2014)、谷口勢津夫『税法基本講義第5版』(弘文堂、2016)、金子宏他『ケースブック租税法』(弘文堂、2017)、中里実他『租税判例百選』(有斐閣、2016)等を参考にしてください。また、個別の租税制度につき、所得税法に関しては、佐藤英明『スタンダード所得税法』(弘文堂、2018)、法人税法に関しては渡辺徹也『スタンダード法人税法』(弘文堂、2018)、国際租税に関しては、増井良啓『国際租税法』(東京大学出版会、2015)が非常に参考となります。加えて、専門雑誌として、税理、租税研究、税経通信、税務弘報、国際税務等の諸雑誌を参照することも有益です。

 その他、質問や問い合わせは、専任教員 濱田洋(hhamada[a]econ.u-hyogo.ac.jp [a]を「@」に置き換えてください。 HP:https://sites.google.com/site/hamadaensyu/home)までご連絡下さい。

財政・税務プログラムの実績とゼミの紹介

 2011年度にスタートした大学院経済学研究科地域公共政策専攻では、神戸商科大以来、多数の高度職業専門人を輩出してきた伝統を引継ぎ、主として税理士育成を目的とした教育が実践されている。特に、下記、中間報告会を年に3回開催し、他大学の租税関係の先生方を交えコメントを頂き、段階的に研究・修士論文作成を図っている。加えて他大学の院生との交流を通じて、相互研鑽を企図している。

 本プログラムでは、平日夜間及び土曜日を講義日とすることで、実務を経験した社会人が出願可能であり、毎年度、様々なバックグラウンドをもつ社会人と大学を卒業したばかりの学生が、同じ場で、同一目的に向かって共に努力する全国的にも珍しい体制が構築されており、租税法務・財政学等を学んでいる。院生は神戸市近郊のみならず大阪府や姫路市等、遠隔地からも通学しており、社会人、社会人未経験者いずれも皆、限られた時間の中で充実した研究が行えるよう研鑽を行っている。

 また、大学院修了後も高度職業専門人としてさらに知見を高めるべく、ゼミ教員、修了生や現役の院生が租税判例や実務上の問題を検討する機会【神戸租税法務研究・情報交換会】を毎月定期的に淡水サロンで開催し、修了後も相互に研鑽する機会を設け、研究と実務の間での相互交流が行われている。今後は、地域の中小企業のサポートを図る専門家として、他の専門家とも協同で企業再生、経営改善、事業承継に取り組む事例の集積を図り、より専門的な知見を高める機会を構築していく予定である。

【大学院ゼミの模様(濵田洋ゼミ:M1M2合同ゼミでの指導教員による判例報告の様子】

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【修士論文報告会の模様 他大学の院生や租税法教員が相互交流し、コメント、京都産業大学等と合同】

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